MSWの役割

医療ソーシャルワーカーの役割

医療ソーシャルワーカーとは

病気やけがをすると、治療のことのみならず、医療費のこと、仕事のこと、家族のことなど、様々な心配事が生じます。例えば、生活が苦しく医療費が支払えない、病気のために仕事ができない、体が不自由になってこれまで通りの生活ができない、寝たきりや認知症のお年寄りを家でみる人がいないなど、患者さんやご家族だけではどのように対応したら良いかわからないことが多いものです。
また、医療保険・介護保険制度、社会福祉・年金制度などは、病気やけがをして初めて自らサービスを利用する立場として制度と出会い、その申請方法や利用の仕方に戸惑いを感じる方がほとんどです。
医療ソーシャルワーカーは、そのような患者さんやそのご家族の不安をできるだけ軽減し、安心して治療に専念できるよう、ご本人・ご家族と、またそれをチームとして支える医師や看護師等の他の専門職と一緒に話し合いを持ちながら、解決への援助をする社会福祉の専門職です。

医療ソーシャルワーカーの歴史

医療ソーシャルワーカーは、1895年にイギリスで生まれ、1905年にはアメリカのマサチューセッツ総合病院に、日本では1929年に聖路加国際病院に配置され、その後多くの医療機関で採用されるようになりました。沖縄県では、平成元年には約15名が勤務していましたが、平成19年6月現在では、117名が一般病院や療養型病床群、クリニックに勤務しており、当協会は医療ソーシャルワーカーの資質の向上を目的に各種の研修事業に取組んでいます。

医療ソーシャルワーカーの業務について

医療ソーシャルワーカーの業務については、平成14年に厚生労働省が業務指針を改訂し、配置基準についてはまだ正式なものはありませんが、職能団体である日本医療社会事業協会が概ね50床から100床につき1名という配置基準を示しています。最近は、社会福祉士の国家資格を取得している医療ソーシャルワーカーが増えています。日本医療機能評価機構の認定条件にも医療ソーシャルワーカーの配置が盛り込まれ、患者さんやご家族からは、病院選びの指標として認識されるようになり、配置病院の問い合わせが当協会へ多く寄せられるようになりました。

医療ソーシャルワーカーの配置が増えてきた要因には、社会的入院を含め、病院職員が対処に困ると認識した問題(1.家族の受け入れ拒否がある 2.不定愁訴や訴えが多い 3.身元引き受け人がいない 4.意欲が無く、無気力 5.退院を告げても入院を延ばしてほしいと訴える 6.家の設備・環境が不十分で自宅に帰れない 7.帰るところが無い 8.家庭での役割や生きがいが無い)等、多様な問題をかかえる患者さんへの支援の必要性が認識されるようになったこと。さらに、介護保険制度施行以来、医療機関の機能分化が進み、介護支援専門員や地域の関係機関との医療と介護の連携が必要不可欠となり、入院早期から退院計画に沿った退院援助を行うことが重要になったこと。さらに、医療保険料が払えない無保険者、ホームレス、若年未婚者の飛び込みお産、被虐待児やDV被害者・高齢者虐待問題等、世相を反映した様々な問題を抱える患者さんの受診も多く、病院は単に病気を治療するだけではなく、これらの患者さんへの対応を迫られている現実があること。等が挙げられます。患者さんを生活者として捉え、早く家庭人・社会人として家庭復帰・社会復帰できるよう、患者さんの権利を擁護し、生活全体を視野に入れた支援が必要になっているといえます。

医療ソーシャルワーカーは病院等の保健医療の場において、社会福祉の立場から患者さんのかかえる経済的・心理的・社会的問題の解決、調整を援助し、社会復帰の促進を図るとともに、地域のケアシステムづくりにも積極的に参加しています。

医療ソーシャルワーカー業務指針

平成14年に改正された「医療ソーシャルワーカー業務指針」をご確認頂けます。
 

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